よくあるご質問
- Q1
- なぜ子どもにとって絵本は大切なのですか?
- Q2
- 「読み聞かせ」って難しそうで…
- Q3
- ウチの子が絵本に興味を持ちません
- Q4
- 同じ本ばかり「読んで」と持ってきます
- Q5
- たくさん与えるのがいいの?
- Q6
- 図書館で借りてくればいいのでは?
- Q7
- 興味のある絵本をその時々に買い与えるのではダメですか
- Q8
- 絵本に良い悪いはありますか?
- Q9
- 何歳まで読んであげればいいのでしょう
- Q10
- 絵本を読んであげれば頭がよくなりますか?
なぜ子どもにとって絵本は大切なのですか?
絵本の絵は動きません。そして絵本の文字は勝手にしゃべったりしません。だからこそ、絵本は大切なのです。
なぜなら
子どもをおとなしくさせておくために、テレビやビデオはとても便利です。テレビやビデオは人間がスイッチを入れさえすれば、勝手に動き、しゃべり、どんな場面も映し出してくれます。
ことに子どもは「何時までに○○をしなくては」という必要があまりないので、いつまででもそこに座って画面を眺め続けることもあるでしょう。しかし、ただ与えられるものだけを受け取り続けていることが自発性を失わせることはおわかりになると思います。
絵本の絵は動きません。子ども達はお話に沿って、その絵が動く様子を想像し、絵に込められた情報を一心に読み取ろうと試み、描かれていないことまでもみつめようとします。これは想像力を豊かにするとても能動的な活動です。
また、絵本の文字は勝手にしゃべったりしません。たいていの場合は親や先生、つまり大好きな大人が、気持ちをこめて読んでくれるものです。絵本に書かれている文字は、大好きな人の肉声で語られることによって、お母さんから、お父さんから、また先生から、自分に向けられている生(なま)なぬくもりのある言葉となるのです。
大好きな人といっしょに、ドキドキしたり、感心したり、冒険したり、悲しんだり、そんな心の動きを感じることができるのです。そこには、絵本の文字以上のコミュニケーションも生まれます。一緒に感じたファンタジーや冒険の世界について、気持ちを語り合って共有することができるのです。
「読み聞かせ」って難しそうで…
大好きなお母さんお父さんの声でお話が次々に展開していく。それだけで子どもにとっては楽しいことです。
ぜひ、字面を追うだけでなく、一緒に絵本を楽しむ気持ちをもってください。子ども用の本、と侮るなかれ。子どもは絵だけをみることが前提ですから、絵本作家は絵にいろいろな気持ちを込めています。
お話に書いていない情報が絵から読み取れたりもします。逆に背景がない絵ならばお話から場面を想像したり…。
最初は厄介に感じるかもしれませんが、だんだんと子どもが笑ったり、がっかりしたり、目が輝いている様子がわかって共感感情が共に育ちます。「読み聞かせ」は決してテクニックを必要とする言葉の羅列ではありません。
ウチの子が絵本に興味を持ちません
初めて出会ったときから絵本が大好きになる子もいれば、時間がかかる子もいます。ひとりひとりの興味の対象も、本に出会うまでの経験も違うので当たり前です。
でも、あきらめないでください。我が子が今、興味をもっていることがなにか、なんとなくおわかりだと思います。乗り物や、食べ物や、あいさつや、夜や、おばけ、何でもいいです。「ちゃんと座ってきいてよ!」と思わず、自分が楽しんでひとりごとのように読んでみたらどうでしょう。だんだんと「…なになに??」と寄ってきて、ページがパラリとめくれたら、次の世界がでてきた!という経験によって絵本が楽しく思えるようになってきます。
同じ本ばかり「読んで」と持ってきます
子どもが大好きになる本があります。図書館で何回も借りたがるので、買ってあげたのにまた図書館で借りたがる…こういうこともよくあります。何度も、なんども、同じ絵をみて、同じお話を聞いて、その物語の中に何度も入り込んで楽しんでいるのです。
「もういっかい」といわれるのは、その子がその絵本の世界からまだ発見ができている、ということです。是非、何度でも読んであげてください。いずれ必ず、ほかの本も好きになります。
たくさん与えるのがいいの?
絵本は、「与えすぎ」ということはありません。いろいろなジャンルの絵本をたくさん読んであげれば、それだけいろいろな気持ちの動きを経験することができます。
想像力、感性、知識、創造力、多くの読書を経験すれば世界が広く、深くなっていくことは大人と同じです。雨の日には雨の絵本、虫を見つけた日には虫の絵本、お月様がきれいだったら夜空の絵本…家庭にたくさんの本を置くことで、子どもの興味はどんどん広く深くなっていきます。
図書館で借りてくればいいのでは?
図書館で本を借りるのはとても楽しい体験です。たくさんの本の中から本を選ぶ時のワクワクする気持ちもさせてあげたい経験です。
でも前述のように、雨の日に雨の絵本、虫を見つけた日に虫の絵本…という具合にはなかなかいきません。子どもはまだ生活実感が乏しいからこそ、似たようなシチュエーションの本を見つけると目を輝かせます。喜んでその本を「読んで!」と持ってきます。そういう経験をさせてあげることの積み重ねが絵本大好きになる一助になります。
興味のある絵本をその時々に買い与えるのではダメですか
もちろんダメではありません。ご家庭ごとの方法があって良いと思います。
ただ、子ども向けの良書をたくさん揃えている本屋さんはあまりありません。また、今持っている本とのバランスや、その子の興味・発達に合わせたセレクトを提案してくれる店員さんがいる書店となると、さらに見つけるのが難しいと思います。これはインターネットの書店でも同じことが言えます。
親が選ぶとジャンルがどうしても偏ります。また、子どもに選ばせると主食に対する「おやつ」のような本ばかり選ぶことにもなりかねません。
吟味しつくされた良書を一度にそろえて楽しむことも、大切な一つのあり方です。
絵本に良い悪いはありますか?
絵本ならなんでもいい、というわけではありません。我が家以外でたまには「おやつ」のような、キャラクターやマンガっぽい本に接してもいいかもしれませんが、せっかくなら「選び抜かれた絵本を」と思います。
また、絵がカラフルに彩られていかにも子どもが好きそうに見えても、言葉が貧弱で感性を養うことができない本もあります。絵と言葉がかみあっていない本もあります。
絵本や子どもの専門家が大量の児童書の中から選んだ本は、子どもの心の栄養がたくさんつまった「主食」にあたる絵本として用意されています。
何才まで読んであげればいいのでしょう
年齢について決まりはありません。
例えば赤ちゃんなら、大きくはっきりした絵とリズミカルなことばの絵本を、赤ちゃんをあやす延長のように読んであげてください。すると、絵本をかじったり、なめたり、ただページを触るのを楽しんだり…それはそれでいいのです。だんだんとお話そのもの、絵そのものにも興味を持つようになります。
また、読んであげてばかりいると自分で読まなくなる、ということもありません。それに、大きくなっても絵本を読んでもらうのは楽しいものです。試しに自分が文字を追わずに、絵をじっと眺めてみてください。誰かがお話してくれたらいいなあ…と大人だって思うこともありますよ。
絵本を読んであげれば頭がよくなりますか?
絵本をよめば知識は増えますし、世界も広がります。文字に興味がわいてくる時期も来ます。ですが、読み聞かせが「知識を増やし、頭をよくするためのものか」というとそれだけではなく、もっと大切なことがあります。
安心できるお母さんお父さんの膝の上で想像の翼を広げ、様々な冒険に旅立ち、胸一杯に喜びやユーモアを吸い込んで、大きく深呼吸するような、そんな経験をさせてあげたい———そんな気持ちで絵本を読んであげてはどうでしょうか。親子で一緒になって絵本を楽しみ、夢中になって読み進めば、共感感情は深まっていきます。知識は後から自ずとついてくるものです。
また、子どもに幸せになって欲しい、という気持ちの願いでしたら、きっとかなえられると思います。世の中にはいろいろな考え方があり、様々な人がいることを読書を通じて知り、また動物も植物も、空や風さえも、生き生きと感じられる感性を磨くことができたら、それはすなわち子どもがその人生を幸せに「生き抜く力」となるのではないでしょうか。
どんな場面においても自分の感じ方・考え方で切り開いていく、自分にとっての「最良」を目指すことができる人生は、本を読む楽しみを習慣にすることによって育っていくと信じています。
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